「過ぎたるは及ばざるがごとし」
まぁ、どうせ罠なら…と思って、落ち込むところまで落ち込んでみようかと思いました。
私はシンちゃんがねぇ、俺はガンマ団ナンバーワンだ!って言うのがすっごい好きなのですよ。
俺は総帥の息子だ!って言わないのが好き。
たぶん生まれてから一度たりとも口にしてないと思う。
一回「俺はマジックの息子だ!」って言ってるけど、あれはまた、意味合いが違うので。
一族の中で、特別異端な容貌で生まれたからこそ、あらゆる意味で特別扱いはイヤな人なんだって思ってたなぁ。
七光りだなんだのと、揶揄する声もあったと思います。
その筆頭がアラッシだったというのは、今思うと感慨深いもんがありますが、そのアラッシーがナンバー2に甘んじていたのなら、ほんで今、シンはんヒトスジだのと恥ずかしげもなく仰るのなら、まぁ、そーゆーことなんじゃないかと思ってます。
一族たりえない容貌と、何の力もないことに、引け目があったと思うから、それは唯一自信に変わることだったと思います。
だからすごくちっちゃいことかもしれないけど、そこにこだわって、何度も何度も言い聞かせるように、口にするのがすごく好きです。
何回言うか数えてるのはからかい半分ですけど(笑)、パパの庇護のないところでがんばれること、自分は自分を誇れるはずだってこと、忘れないようにしてるみたいに、口にするから好き。
口にしてないと忘れちゃいそうになるような、確固たる自信ではないところがまた好きです。
パパが長いこと真実を話さずに大切に大切に守ってきてくれたことは、随分自尊心を傷つけられたのではないかと思います。
だから誰かに、ぶつかる前から乗り越えられないだろうと定めて、手を差し伸べるような人ではないといいなと思います。
過ぎた甘やかしは相手のためにならないと、身をもって知ってる人だといいなと思います。
だからね、成長をにらんで逆説的にリッキーを突き落としてるんじゃないかと、信じたいところもあったりするのです。
あ~、コタちゃんと美少年は別腹。性癖だから。
だからといってあの場でシンちゃんが「信じてるぜ!」とか、怒られる前に「だったら信じよう!」なんて言ってたら、あまりに嘘くさいなと思ってしまうので、いつの間にか、自分の中でも「そういうこと」なんだなと思った。
伊達には黙って任せてくれただけに、それが嬉しかっただけに、何か寂しい。